白花繚乱
ビビが亡くなってから1年。
エーコは故郷の地マダイン・サリへ帰り、黒魔道士の村を訪れた。
ビビの子供たちに家族のように温かく迎えられるものの、エーコの心の中には複雑な感情が湧き上がっていた。
1
心の何処かで風が鳴る。それは
成長
という名の空ろに響くからだ。
2
焼け焦げのように苦い香りが心の中に漂った。それを
喪失
と人は言った。
3
全ての時は流れていく。
記憶
のように優しく、そして無情に。
4
いずれ此処にも咲き乱れる。白く儚く輝く
彼
のように強い花が。
あとがき
NOVEL