いきなりですが、スタイナーの裏設定について語ります!  裏設定は飛ばして、あとがきを読んでくださる方はコチラから。








 スタイナーの設定だが、私は何にも考えていなかった。(爆)
 モノカキ仲間の人は討論していたときに「スタイナーっていう名前はStein-erだから、石匠を意味するんだよ」と教えてくれた。でも私は、そんなの知るかって書き進めていた。

 しかし今回、アレクサンドリア城の大剣について書いたときに溢れるようにアイディアが出てきて、瞬く間に設定が決まった。
 まず思ったことは、あの大剣の材って何だってろう?
 ムービーを見る限り本当の剣みたいに見えたけど、アレクサンドリア城崩壊直後の修復風景を見ると、途中でポッキリ折れたまま修復を続けていることがわかった。
 鉄ならば接ぐときに打つ必要があるんじゃないか、と思った(詳しい知識は持ち合わせていないので、悪しからず……)私は、「あれは石だ!」と断定。(笑)
 でもそうなると、あの見事な光沢は何なんだ、ということになる。それにあの剣、アレクサンダーがやられたときにギュイーンって伸びたよね!? ――ということで、「あの石には何か特殊な呪法が施されている!」と決定。(笑)

 そこで出てきたのが、スタイナー。
 プルート隊っていうのは、三勇士像が広場に立っているくらいだから相当誇りある隊だと思うのに、馬鹿にされている(辞めようとする隊員までいるし……)。そんな隊の隊長を務めているスタイナーは実力・人望は無いけど、それなりの家の出だろうと思い、スタイナー将軍家というのをつくった。
 そして思い出したのは、スタイナーの暗黒騎士っぷり。彼はただの騎士じゃないと思った私は、すぐに、彼の魔力を石匠のスタイナー一族と結びつけた。
 でも、そんな特殊な魔力を持つと独占したがるのが人間だと思ったし、独占したら供給があっても需要が無いから、使い道のない魔力は影を潜めて行くだろうとも思った。
 スタイナーは、どちらも没落の一途を辿っているのだと、ね。












 今回、ダガーを軸にベアトリクスとビビを描いた。


 ベアトリクスには、私の考えを言ってもらった。
 霧の大陸で起きた二つの非道な侵略行為は、ジタンたちの旅が終わっても終わるはずがない。ブルメシア人のベアトリクスに対する恨みは、そうそう簡単に消えるものじゃないと思う。
 「じゃあ、リンドブルムは?」って話になりそうだけど、あそこは黒魔道士が投入されただけで人間兵はあまりリンドブルムに入ってなかったと思う(占領後は、さすがに人間兵が出ていたけどね)。だから、ベアトリクスへの直接的な恨みは無いと思うし、ブラネへの恨みも「だって、本人死んじゃったし」で終わりそう。(笑)
 リンドブルムの人たちは、そういうカラリとした職工気質の人が多そう。自分たちの生活する場所、自分のしたいことができる場所があれば、それで充分さ、って感じ。

 対してブルメシアは問答無用に国民を殺されて、同族が暮らすクレイラは跡形もなく破壊されてしまった。ブルメシア王の捜索のために人間兵は多く出ていただろうし、クレイラにも多くの人間兵が侵入していた。きっとベアトリクスは自分だけ後ろの方で楽をするなんて嫌だろうから、前線で戦闘に加わっていたと思う。
 百年も昔のケンカを引きずっていたブルメシア人のことだから(笑)、戦場で見たベアトリクスに対する恨みつらみも、さぞ、引きずっていることだろうと思った。
 それに、リンドブルムよりもブルメシア・クレイラの方の崩壊がひどいから、復興作業は急務だと思う。
 そういう事柄を考えると、ベアトリクスが言ったように、彼女はアレクサンドリで裁かれた後にブルメシアで罪を償うのが、一番霧の大陸にとって良いと思った。


 一方、ビビには私の思いを話してもらった。
 私の物語では、イーファの樹には暴走だけでなく爆発というオプションも付いている。(笑)
 あの光景を見て、ダガーは気が気でないと思う。他の人たちもそうだと思うけど、ダガー程じゃないんじゃないかな。
 ビビは、仲間だからとか関係なく、ジタンという男に絶大な信頼を置いていると思う。
 フライヤとスタイナーは、騎士として、自分が一度認めた男がそんな所でくたばるとは思わない。
 エーコは、惚れた男に対する無条件の信頼。
 サラマンダーは、あの爆発こそジタンが生きている証拠だと思ったでしょう。
 クイナは、おいしい物を食べてもらわなきゃ恩返しができないから、生きていると信じている。(笑)
 ダガーは決して幼くないけど、一度考え込んでしまうと少しの間じっと立ち止まってしまう弱さがあると思う。再び歩き始めた彼女ほど強い女はいないとも思うけどね。
 ビビは子供のように見ているしかできない弱さもないし、変に考えすぎて動きが取れない大人のような面もない。とても素直で、良い意味で遠慮がない。今回ビビには、そんなダガーの背中を押す役割をしてもらいました。




 実を言うと、この話は『届けられた言葉』よりも先に――というか、一番初めに思い浮かんだ話だったりする。
 ある日ふと頭に浮かんだのは最終話の最後で、ダガーがアレクサンドリア城の屋上で歌う場面。気持ちを強く書きたくてほとんどの描写は省いているけど、私の瞼の裏に映ったのは、少しやつれたダガーが夜明けに向かって悲しそうに祈りを捧げているところ。
 ダガーには辛いと思うけど、ベアトリクスの問題は放っておけない事だから決断してもらいました。
 そんな中でダガーは心から歌うと思う。自分の悲しみを紛らすためもあると思うけど、何より、仲間たち、城の人たち、アレクサンドリア国民、ガイアにいる全ての人たちに、頑張って笑顔を浮かべて歌うと思う。


 この話は一番初めに浮かんだ話だからか思い入れが強かったらしく、最終話でダガーが退出しようとするベアトリクスに話しかけるシーンを書いてて泣きそうになってしまった。
 この気持ちが少しでも、読んでくれた方たちに伝われば……と思う。

 ちなみに、本人たちも知らないことだから今後描写をすることはないけれど、今回の歌と「届けられた言葉」第六話の歌、そしてビビJr.の誕生は同時だという裏設定がある。
 どれが先だとかはなく、「頑張って生きよう、生きてほしい」と思ったのは同時なのではないか、と。


ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
これからも、より良い作品を書けるように精進していきますので、
応援よろしくお願いします!






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2007.10.24