頭上が闇色に染まる中で、熱い昼の焦げ跡のように西の地平だけが赤く染まっている。
それを丘の上から六人の子供が眺めていた。
似た顔立ちに揃いの服を着て並ぶ子供たちの内の一人が、眼前に広がる夕焼けのように物悲しげな表情を浮かべて口を開く。
「もうすぐ、一年だよね」
それに続く言葉は何処からも零れてこなかったが、皆が思い描く人物は同じだった。
記憶の中にある彼は何とも言えないほどに頼りなくて弱々しかったが、その存在は彼らの幼心にも鮮烈に焼き付いている。
申し合わせていたかのように全員が空を振り仰いだとき、先程とは別の子供が独り言のように小さく呟いた。
「あと少ししたら、帰るか」
それからしばらくの間、子供たちは限りなく雄大に広がる夜空の向こう、散らばり輝く星々の中に、父親の影を探した。
いつの間にか、陽は沈んでしまっていた。
NOVEL
物書きさんバトンより お題「限りなく」